【投稿】「ウリハッキョと千葉のともだち」を鑑賞して 渡邉実 /朝鮮新報 2018.12.22
47回在日朝鮮学生美術展「ウリハッキョと千葉のともだち」を鑑賞した。
私にとっては3回目の美術展。毎回、圧倒されるような生徒・児童たちの感性とパワーを見せつけられる。今回も期待して千葉市美術館に足を運んだ。
会場に入ると、順路は左と矢印にある。しかし正面の展示にひきつけられて直進。「ウリハッキョと千葉のともだち」と表示されたパネルに見入る。まず私の心をとらえたのは、千葉ハッキョ初級部1年生の作品だ。
二人の男子が向かい合って、手を差し伸べている。その手のなんと大きいことか。手のひらはお互いの上半身ほどもある。握手を求める気持ちの強さがにじみ出ている。また、その二人の表情が良い。眉に力を入れ、口は一文字に結ぶ。お互いの手を握り合ったあとの破顔を十分に予想させる。なるほど確かにこの作品は、作者がつけた題名通り「あくしゅしたらこころがきらきらかがやくよ」。今年のテーマ「てをつなごう」を見事に表現した作品だ。
次に目にとまったのが千葉ハッキョ中級部3年生の水彩画「玄関に咲いた木蓮の花」だ。私にとっては馴染みのあるハッキョの玄関。これを淡い虹色の、とろけるような色使いで描いている。陽光が当たって風景全体が光り輝く中、紫木蓮がつぼみを膨らませている。なるほど、私がこの作品に名づけるなら、それは「希望」。新しい春を迎えた生徒たちの胸に抱く「希望」。そして生きとし生けるものの、この世に存在することの無上の喜びを包み込み、未来に向かって尽きることのない「希望」。
そして最後にひきつけられたのが、東京中高高級部3年生の珍しい写真作品。順路からいえば会場の一番奥に飾られていた組み写真だ。縦2メートル、横1メートルほどの布いっぱいに10枚の写真が印刷されている。これが2枚。被写体はどれもが一匹の「カイコガ」。あの繭を作るカイコ。その成虫だ。
何とも愛らしい。純白に近いが、ややクリーム色がかった美しい毛で全身が覆われ、朝顔の種のような瞳を持つ。そしてこの作品で最も目を引くのが触覚。繊細ながら見事に整った、ほんつげ櫛のような触覚である。また、構図と背景の色使いが秀逸。淡い色のガラス片や布にしがみつくカイコガ。鏡を見つめるカイコガ。何とも胸が痛くなる。目頭が熱くなる。ここに描かれているのは命のはかなさ、切なさ。いとしさ、もろさ。そして命の尊さだ。この作品に名づけるならば、それは「命」だ。
「希望」と「命」。誰のものであってもこれは尊重されねばならない。国が違う、文化が違う、言葉が違う、宗教が違う、だからといって決して、踏みにじられてよいものではない。
みんなで「てをつなごう」。そして誰のものであれ「希望」や「命」が尊重される社会を作ろう。この美術展がその一つのきっかけとなることを願ってやまない。
(千葉ハッキョの会)